公開日:2023.11.29 更新日:2024.03.01

インボイス制度対応のための業務を効率化させる方法

概要

2023年10月からインボイス制度がはじまります。インボイス制度は消費税の仕組みに大きく関わるものであり、多くの企業からフリーランスまで、影響範囲はとても広いです。
日本国で働く私たちは、インボイス制度がどのような仕組みで、対応はどうしたら良いのかしっかりと理解しなければなりません。そして業務をうまく効率化し、インボイス制度へ対応できるようにしましょう。

インボイス制度とは?

そもそもインボイス制度がどのような制度か知らなければ対策することもできません。インボイスは「適格請求書」とも言いますが、これによって仕入税額控除を受けることができます。

そしてインボイス制度は「適格請求書等保存方式」つまり、仕入税額控除を受けるための請求書や納品書をフォーマット通りに発行し、しっかりと管理するという仕組みの事を指します。

インボイス制度の概要

インボイス制度では、適格請求書を発行し管理することで仕入額控除を受けられるのですが、発行するためには課税事業者となる必要があります。

これまで課税売上が1000万円以下の事業者は免税事業者でしたが、適格請求書を発行するためには1000万円以下でも課税事業者となることが求められます。

また、課税事業者が以下の内容を記載した請求書を発行することで成立する仕組み、となっています。

  • 適格請求書発行事業者の氏名または名称と登録番号
  • 取引年月日
  • 取引内容、軽減税率の対象品目の場合、対象品目である旨
  • 税率ごとに合計した対価の額と適用税率
  • 消費税額
  • 書類の交付を受ける事業者の氏名または名称

インボイス制度のメリット

インボイス制度は仕組みの変更に対応しなくてはならないため、どうしても面倒に感じることも多いです。少なくともこれまで免税事業者として運営されてきた場合だと業務内容が増えてしまうことは間違いありません。

一方でインボイス制度の導入に全くメリットがないわけでもありません。インボイス制度の導入でどのようなメリットがあるのかも把握しておくべきでしょう。ではここからは、インボイス制度のメリットを紹介していきます。

電子インボイスを導入しやすくなり、業務効率化を図れる

インボイス制度が開始するタイミングで多くの企業が対応することになると思いますが、電子インボイスつまり請求書をデジタルで扱うチャンスとも言えます。

特にアナログで作業することが常態化している企業では、どちらにしてもインボイス制度に対応するために変化を求められるわけですから、これをきっかけに一気に業務を電子化する方向で動くことができます

電子インボイスに対応すれば、メールやインターネットを経由して請求書のやり取りなどができますし、紙媒体の書類をほとんど扱う必要がなくなり業務の効率化が可能です。

制度導入後の取引に有利となる

インボイス制度に対応するかどうかは事業者の判断によります。例えば免税事業者は適格請求書を発行するために課税事業者に切り替えを余儀なくされるわけですから、それを嫌って適格請求書を発行しない可能性があります。

すると取引相手からすれば仕入額控除が受けられなくなるため、インボイス制度に対応している事業者と取引をしようと考える可能性が高いでしょう。つまり、インボイス制度に対応すると取引で有利に働くことがあるわけです

インボイス制度のデメリット

インボイス制度にはデメリットも存在しています。これらのデメリットのうちのいくつかは対策をしっかり行えば気にならないものも含まれているので、どのように対応していくか詳しく検討していきましょう。

消費税の申告・納税の業務負担が増える

特にこれまで免税事業者だった場合、税に関する申告についてかなり楽をすることができていました。インボイス制度に対応するためには、消費税に関する計算などを行う必要がでてくるため、申告や納税の業務が増加してしまいます。

ある程度は会計ソフトなどで対応できますが、どうしても業務量が増えてしまうこと自体は避けようがありません

請求書の様式を変更する必要がある

適格請求書には記載しなければならない情報が決まっています。そのため従来の請求書のフォーマットをそのまま使い続けることができません。新たに請求書のフォーマットを用意して、都度必要な情報を入力しなければならないため負担が増えます。

フォーマットの変更そのものの負担はそれほど大きく感じないこともあるかもしれませんが、例えば自社独自のシステムで請求書を発行していた場合はシステムそのものを修正する必要が出てくるかもしれません。

手続きの手間が増える

インボイス制度に対応するためには、適格請求書の発行以前に書類を提出して手続きを済ませる必要があります。この手続き自体は1回すれば良いので、それほど負担が大きいわけではありませんが、新しく覚えなければならない事が複数ある中で手続きの手間まで増えると、決して無視できるものではありません。

また、適格請求書に記載されている登録番号が間違っていると仕入税額控除ができない可能性もあるので、登録番号が間違えていないかのチェック作業なども必要になってきます。

インボイス制度対応時の業務を効率化させる具体的な方法

インボイス制度の対応で、事務作業が増えてしまうのは仕方がありません。しかし、現状の業務に加えて新たに事務作業が増えても処理しきれるかどうかは事業者次第です。

そこでインボイス制度に対応する際に業務を効率化して、なるべく負担を減らすことが重要になってきます。電子インボイスを利用したり、事務作業の一部をRPAなどで自動化することで、事業者の負担を減らすことが可能です。

電子インボイスの導入

インボイス制度には、「電子インボイス」というデジタルで適格請求書などを扱う仕組みがあります。この電子インボイスを導入することで、アナログで請求書を扱っていた時よりも効率化することができるのです。

電子インボイスの導入をしない場合、インボイス制度によりこれまでよりも保存しなければならない書類の数などが増えるため、対応に工数がかかると予想されます。

電子インボイスは電子帳簿保存法を理解してデータを保存する必要がありますが、そこをクリアできればかなり効率化することができるでしょう。

インボイス制度対応の経理ソフトの活用

インボイス制度に対応した経理ソフトを活用すれば、税区分や税の計算などの手間をかなり削減することができます。買い切りの経理ソフトや、社内で独自の仕組みを使っている場合、変更するコストが大きくなるとは言っても対応しなくてはなりません。

クラウド系の経理ソフトであれば自動的に対応しているものがほとんどです。場合によってはインボイス対応のタイミングで経理ソフトを変更するということも視野に入れた方が良いかもしれません。

RPAの導入

RPAの導入で業務の一部を自動化することができます。インボイス制度においても適格請求書の作成はフォーマットの決まっている単純作業なので、RPAでの自動化に向いている業務と言えます。

導入コストも比較的安価なので、インボイス制度によって増える業務の大部分を自動化することができるRPAの導入はお勧めです。現在は学習コストも低くサポートが充実しているRPAもあるため、中小企業でもRPAの導入を進めている会社は多くなってきています。

RPAの導入でインボイス制度の管理を更に効率化

いくつかインボイス制度における業務効率化方法を紹介しましたが、その中でも最もおすすめなのがRPAの導入です。インボイス制度によって書類の電子化が非常に進むと予想されますが、RPAはデジタルデータとの相性がとても良い自動化ツールとなっています。

パソコン上で行う単純作業の大部分はRPAを導入することで代替が可能になりますので、インボイス対応以上の効果を発揮します。

RPAとは

RPAはRobotic Process Automationの事で、要するに業務の自動化を行うツールです。自動化には、例えばExcelのマクロなどもありますが、RPAは複数のアプリケーションにまたがった作業も行うことができます。

近年注目されているAIとは異なり、複雑な判断はできないため単純作業を自動化することに特化しています。

AI系の仕組みとは違い、RPAは導入の際にプログラミング知識や専門知識が必要ない製品も展開されているので、それほどITに強くなくても問題なく使用することができます

RPAのインボイス制度への応用例

インボイス制度においてもRPAを活用できます。まず一番効率化するべきメインの部分は、適格請求書の発行作業でしょう。必要な情報をフォーマット通りに入力する作業は、RPAによって自動化することができます。

また、取引する場合に事業者のインボイス登録番号照会が必要な場面も多くなると思いますが、照会作業もRPAで自動化することが可能です。

複数のアプリケーションにまたがった動作もできるので、定型メールの送信なども効率化していくことができ、インボイス制度の対応にも応用していくことができるでしょう。

RPA導入のメリットと注意点

RPAを導入すると、多くの繰り返し行う単純作業を効率化することができます。また、自動で動作するため、営業時間外の稼働も可能となる点もメリットです。インボイス制度の対応以上に、さまざまな場面で効率化を行い利益を伸ばすことができるかもしれません。

しかしRPAは複雑な処理はできませんし、定期的にメンテナンスを行う必要もあります。また自動化によってトラブルが発生する可能性もあるので、一気に導入するのではなくスモールスタートして、きちんと動作しているか注意して見ておく必要があります。

インボイス制度を活用した効率化の実例

ここからは、インボイス制度を活用した効率化の事例を見ていきます。具体的にどのような活用のされ方をしているのか把握し、自分の事業でどのように活用すると効率化できるのかを考える事が重要になるでしょう。では、以下にてまとめていきます。

事例①

インボイス制度がスタートすれば、多くの事業者が電子インボイスに対応して、アナログからデジタルへの移行が進んでいきます。それでも古いものや、依然としてアナログを活用する事業者も居るためデジタルだけで完結することは難しいです。

そこで紙媒体もスキャナーでデジタル化することで、全てのデータをデジタルで扱うことができるようになります。一見すると手間が増えているように見えるかもしれませんが、今後の管理コストを削減できますし、検索やデータの引用など非常に効率化することができます。

インボイス対応のタイミングでスキャナーを導入して、結果的に業務が効率化できた事例は多数存在します。

事例②

インボイス制度にあわせてRPAを導入し成功した事例を紹介します。この制度では取引相手が適格請求書を発行できるかどうかが非常に重要になってきますが、それを確認するためには事業者が登録しているかを確認する必要があります。この確認作業を、RPAで自動化することが可能です。

国税庁では適格請求書発行事業者登録を行っている事業者を公開しており、法人番号から検索することができるようになっています。

まずはRPAで取引のある法人の法人番号をインターネットから収集してきてリスト化し、その番号で国税庁のページから登録しているかどうかを自動でチェックします。

このように活用することで、取引先の法人がインボイス制度に対応しているかどうかを自動でチェックすることが可能になります。対応していない事業者には対応時期の確認メールを自動で送ることも可能です。

インボイス制度への移行にあたっての注意点

インボイス制度へ対応する場合、移行時に注意しなければならない点がいくつか存在します。特にRPAなどを活用して効率化していく場合には見落としもあるかもしれません。

移行する前に注意すべきポイントを把握し、実行時にはチェックすることをお勧めします。

法令遵守の確認

インボイス制度ではいくつか守るべき法令があります。これは業務を効率化してRPAなどで対応する場合でも、当然守る必要があります。

例えば、取引相手の課税事業者から適格請求書の発行を要求されたら対応しなければならず、発行した適格請求書は保存しておく義務があります。

この際に不備があると問題ですから、仮に効率化をして人の手を介していない場合でも、しっかり法令が守られているかチェックする必要はあるでしょう。

データセキュリティの強化

インボイスに合わせてさまざまな業務を自動化した場合、トラブルでデータが流出してしまう可能性もあります。もちろん効率化をしていなくてもデータセキュリティに気をつけるべきですが、今まで以上に注意しなければなりません

例えば定型メールを送信する業務とインボイス制度に関わる業務を自動化していた場合、トラブルによってインボイス関連の情報をメールで送信してしまうなんて可能性も0ではありません。

自動で全く関係ない相手に請求書を送ってしまう状況は想像しやすいのではないでしょうか。これ以外にも重要なデータを扱うわけですから、慎重にならざるを得ません。

社内の意識改革

インボイス制度自体もそうですし、RPAなどの業務効率化も社内全体で意識改革をする必要があります。業務量が増えてしまえば会社としては人件費で利益が圧迫されてしまいます。

それを何とかするためにRPAによる自動化を進めたいと経営陣が考えていたとしても、現場の社員が危機意識を持っていなければRPAを十全に活用できないかもしれません。

会社全体で意識改革をしていくことで、世の中の変化に対応していくことはとても重要なことです。

インボイス制度に伴うRPA導入ならアシロボにお任せください

インボイス制度に対応するためにRPAの導入を考えてる場合は、ぜひ「アシロボ」にお任せください。アシロボは直感的で操作しやすいだけでなく、低価格帯で導入しやすいRPAです。

導入前に業務の改善ポイントの洗い出しを一緒に行える、使い方の無料講習が受けられるなどサポートも充実しています。RPAの導入でお困りの企業様は、ぜひアシロボをご検討ください

アシロボRPAセミナー

アシロボはRPAに関するセミナーやイベントを開催しています

セミナー・イベント情報を見る
アシロボRPAセミナー